「体幹トレーニング」は誤訳?!

「体幹トレーニング」は誤訳?!

「体幹強化」という言葉について。その類のトレーニングを実際に行えている方々以外にはなかなか分かりづらい、抽象的なものになっていることが多い印象です。

「体幹って何?」という疑問に対して具体的に考えてみます。

トレーニングの主旨が明瞭にならないのは、実は英語から翻訳された日本語に少しズレがあるせいかと思います。

「体幹」とは、四肢および頚部/頭部を除いた胴体の部分です。
胴体はTorsoですが、”Torso Training”とは言いません。

英語圏では”Core Strength(Training/Workoutなど)”、Coreを訳すと「核」や「芯」ですね。

身体におけるCoreとは”Core muscle(コアマッスル)”のことで、Andry Vleeming氏により横隔膜/腹横筋/骨盤底筋群/多裂筋と定義されています。腹腔を囲う最も内側にある筋肉群、「腹部の内側の筋群」です。

お腹≠胴体の全てではなく、腹部は胴体の下半分にあたる一部分です。胴体の中にお腹が含まれ、さらにその中にコアマッスルがあります。

コアトレーニングの訳語として「核・芯または横隔膜/腹横筋/骨盤底筋群/多裂筋トレーニング」ではしっくり来ず、「体幹トレーニング」になったのではないでしょうか。Coreを一語で表せないため、原語よりもかなり大きな部位を指す言葉になっています。

胴体トレーニング…?? 正確性を犠牲にし別の言葉を用いることで、元の意味が隠されてしまう例です。

コアマッスルを一言で表す日本語はありませんが、コアマッスルの役割は「協働して内腹圧を保つ、高める」です。

Core Strength(コア強化)は「腹圧を高める筋肉群の持久力UPを目的とするトレーニング」、これを略して「腹圧トレーニング」と言えば、「体幹トレーニング」より分かりやすい気がします。

身体の部位よりも「何をするか」を表す言葉の方が、よりトレーニングの主旨が伝わりやすく、「体幹」より「腹圧」の方がコアという言葉に直接リンクします。

ピラティスや長友選手のプランク類などが有名ですが、実はどんな状態でも「腹圧を高める筋肉群の持久力UPを目的とするトレーニング」になり得ます。立つだけ歩くだけ寝そべっていても、腹圧を高めるよう努めればそれは腹圧トレーニング、コアトレです。

逆に「プランクの形をしているだけ」「ルティレの形をしているだけ」で腹圧が抜けていればコアは強化されません。
もうあまり使いたくない言葉ですが、形だけでは「体幹トレーニング」にならないのです。

「体幹を強くしたいので体幹トレーニング教えてください」という質問に対しエクササイズを伝えるだけでは足りず、やはりその言葉が指している真の意味も知っていただかないと実践してもらうのは難しいです。

表面上の名前なんてどうでもいい、エクササイズがあればいいという方も多いかもしれませんが、人間は言語を使って思考する以上、脳内の言葉が正確でないと結果もついてきません。

ここでは「腹圧はどうやって高めるのか」「コアが強いとどうなるのか」には触れていませんが、まず「体幹トレーニング」という言葉の意味について一考しました。

長文を読んでくださった方、ありがとうございます。
読後にコアが強くなるわけではないのですが、急がば回れで、使っていただいたお時間がトレーニング時の意識の変化につながりますように…🍀


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