「変性意識」も身近にある 教える側・教えられる側両者に必要なもの
「催眠術」と聞いて、どのような印象を持たれるでしょうか?
私は「不思議だけど、できるだけかかりたくないなあ」と思っていました。
テレビなどで見る、術にかかった人が椅子から立ち上がれなくなったり、大量のわさびに辛さを感じなくなったり、それらがあまり「良いこと」に見えなかったためです。
椅子から立ち上がれないのは困りますし、わさびを大量に食べるのはお腹を壊しそうですよね。
でもこの催眠を、立ち上がれなくなるのではなく力をブーストさせる方向、能力開発に使えるなら、安全な範囲で利用してみたくなります。
(テレビなどではなぜ「かかった人があまり望ましくない状態になる」のを見せるのかよく分かりません。ショー的な意味合いが強いのでしょうが、催眠に良いイメージを持ちにくく感じます)
↓『自分のリミッターをはずす!: 完全版 変性意識入門』苫米地英人著を参照↓
人間の意識状態には覚醒状態と変性状態があり、覚醒状態とは簡単に言えば普通の状態です。
催眠は、人間の「変性意識(Altered states of consciousness)」に働きかけて暗示を与えます。
「変性意識」は以前は=トランス状態と解釈されていましたが、現在では「意識が物理空間ではないところに臨場感を持っている状態」とされています。
音楽を聴いたり物思いに耽ったり、映画や小説に夢中になっている時や、睡眠時も「変性意識」状態です。
私達は日々変性意識状態に入っているのですね。
音楽を聴くだけで変性意識状態になるのですから、そののめり込み方が浅ければ私達は覚醒意識(普通の状態)と変性意識を行ったり来たり、往来できます。
催眠は、その変性意識状態の方を利用するのです。
『自分のリミッターをはずす!: 完全版 変性意識入門』には催眠術師の方のインタビューが掲載されています。
催眠は「かける」という表現に語弊があるようなのですが、「すべての催眠は自己催眠」とのことでした。
催眠術は、術師が催眠状態に入って、それが被験者の自己催眠を引き起こす現象だそうです。
術者がまず自己催眠にかかっており、そこにいる被験者もつられて自己暗示にかかってしまうのです。
「え?『術者が覚醒状態』で『被験者が変性状態』じゃないの?」と思ったのですが、これは小説などで考えてみれば分かることで、作家が小説を書きながらそのストーリーに臨場感を持っていなかったら、読む人も没頭できるわけがありません。
小説家がシラけていたら(覚醒意識=普通の状態)であったら、読み手もシラけます。
術者がシラけていたら(覚醒意識=普通の状態)であったら、被験者も催眠に入れませんよね。
この催眠の連鎖ですが、毎回100%うまくいくとは限りません。
音楽や映画、小説などに夢中になる時、私達は物理空間ではリラックスしていると思います。
もちろん映画の中で波乱万丈も起こるでしょうが、それは情報空間(頭の中で構築された想像の世界)の話。
もし物理空間にある身体や心が緊張を強いられていれば、小説や音楽に集中できないでしょう。
変性意識状態になるには「自分がその世界に没頭していける環境」が望ましいですが、物理空間で何かが気になっていたり、術者に不安を感じてしまう場合などは、なかなか自己催眠に入っていけないかもしれません。
(相手と対峙した一瞬で催眠をかける武術的な「瞬間催眠」もあるそうなのですが、ここでは割愛します)
また術者のレベルも大きいですよね。ベテランと初学者では、相手に与えられる影響が違います。
この催眠の連鎖、「誰かが強い変性意識状態に入っていることで他の誰かを変性意識状態に引きずり込む」という現象は、小説や音楽以外にも、習い事や教育、スポーツの現場で普通にあることだと思います。
例えばバレエのお教室。先生の指導にすっかり同調してぱあぁと目が開き、夢中で動くような子がいます。変性意識に入っているのです。
また、なかなか覚醒意識=普通の状態から抜け出せず、その空間に飽きてしまうような子もいます。
どんな生徒がいようがいずれにせよ、先生自身は強い変性意識に入っています。バレエの動きに対して確信を持っているからこそ、指導ができるのです。
先生がバレエに集中できていない、夢中になっていないようでは、レッスンは成り立ちません。
教師や指導者は、自分自身が深い変性意識状態に入れる、自己催眠、自己暗示にかかれる人でないと務まらないのです。
また生徒としても、何かを学び、何かを身につけていく際には、この変性意識状態になれるかどうかが鍵となるでしょう。
上記『変性意識入門』の中で、「東大生は催眠にかかりやすい」という話がありました。
彼らは学問を追求して来た人達であり、言語への感受性が高く、言われたことに強い臨場感を持って世界を構築できるからです。
教科書を開いて「全く分からない」と覚醒意識のままでいるか、変性意識に入って数学なり歴史なり、ありありとその世界が目の前に見えるかのように臨場感を持てるかでは、インプットできる度合いに大きな差が出ます。
ここまでで、学びにおいて教える側と教えられる側、両者の変性意識が重要だと分かってきました。
自分がその世界に臨場感を持つことができないものは、身につかないのです。
そして師の存在も重要です。
「この先生に教えてもらいたい」「この先生のお話は分かりやすい」「リラックスできる(変性意識に入りやすい)」
「この先生の見た目が好きじゃない(臨場感を持てない)」「話が分かりづらい」「なんだか不安を覚える、緊張してしまう(変性意識に入りにくい)」
また教師側から見た生徒の存在も、同じです。
真剣な学びの場において、変性意識に入れず醒めてしまっている状態のままの人がいると、場が壊れてしまいます。
ただやはり圧倒的に教える側が、深く質の良い変性意識に入ることで、多くの人を巻き込みながら臨場感を共有できる世界を構築できるでしょう。
自分が「この人だ」と思える師は代替できず、貴重なのです。
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