リブフレア・ずん胴・くびれ・肋骨が溶ける深い呼吸
「現代人は呼吸が浅い」と言います。
これはmetamorphoseの初回座学セッションに登場する「呼吸」のセクションでも説明に使いますし、様々なメディアなどでも良く聞くフレーズです。
昔の人々の実際の身体を見たことはないですが、おそらく今の日本人よりはマッチョであると思います。
インフラがなければ生活の全てが肉体労働になるからです。
陽が昇る前に水を汲みに行き、電車や自動車が無く所用のために足で山を越え、納税が米であるような生活であれば筋力が必要です。
運動するためには酸素が必要ですので、必然的に心肺機能も向上します。
それに比べて現代は頭脳労働が多くを占めます。どんな業種もパソコンに向かう時間は長いですし、また家事は手元の操作のみで済むことが増えました。
運動量が減少すれば必死で酸素を体内に取り込む必要がなくなり、呼吸筋(ほぼ上半身全て)が弱くなります。
それでどうなってしまうのか。呼吸は脳も含めた身体操作に関わるので、あらゆるパフォーマンスが低下します。
最も分かりやすいのは見た目で、ボディラインが崩れます。わずかな呼吸しか行っていない上半身は、ずん胴で下腹が出ただらしのない形状となります。
酸素の量が少なければ頭の働きも悪くなるでしょう。
「くびれがない」ことで悩まれる方は多いのですが、まずは自分の呼吸がどうなっているかをプロと一緒に検証してみてください。
めるもでは初回から呼吸について詳しく解説しますし、その際には一緒にやり方を練習をし、生活の中で行えるワークも複数提案します。
あらゆる技術は話を聞いただけでは会得できないので、実践しましょう。
そこが「忙しい現代人(←陽が昇る前から水汲みに行ってた人の方が忙しかったはず笑)」には難しいところで、誰かのお話を聞きに行くことをありがたがるわりに一人ぼっちでの実践は度外視しがちです。
ただ、初回セッションの内容を全て記憶するのは難しいだろうなあとも思います。個人利用の範囲でしたら録音OKですのでご利用ください。
さて、浅い呼吸に伴う「リブフレア」という胸郭の変形があります。
Rib(リブ)は肋骨、フレアはFlare、フレアパンツのフレアですね。広がっていく形のことです。
リブフレアは開帳肋骨、肋骨が開いたまま閉じないような状態です。
肋骨は両開き窓のように本来開けたり閉じたりできます。
デフォルトの状態は閉じているはずで、吸気の際には開き、呼気でまた閉じた状態に戻ります。
リブフレアだと、窓が半開きで閉まらないのです。
そのため息を深く吐くことができず、少しだけ吐いてはまた少し吸い、をずっと繰り返しています。肺の上部のみが使われているような印象です。
平常時から副次呼吸(=肩で息をすること。本来はダッシュ直後など早急に酸素を必要とする場合にのみ起こる。Accessory Breathing)が癖になり、常時 肩が上がっているような人もいます。
吐く息は副交感神経優位、吸う息は交感神経優位となりますので、リラックスができずアッパーな状態を強いられ、上肢帯が力みがちです。
過呼吸の発作まで行かずとも、呼吸が深い人と比べて身体の緊張が続いてしまっています。
身体の一部が力んでいれば他に力を分配することができないので、下半身が弱くなることにもつながっていきます。
この「浅い呼吸が動作を阻害する」という現象が分かりやすく見て取れるエクササイズがあります。
Chest Lift(チェストリフト)、仰臥位から胸(チェスト)をリフト(持ち上げる)というエクササイズです。
手順は、吸気で準備(肺が膨らみ胸郭が開き、胸骨が少し上がる)し、呼気(肺がしぼんで胸郭が閉じ、胸骨が下がる)に伴って胸椎の屈曲を行う動きです。腹筋群のトレーニングになります。
呼吸を利用するエクササイズなので、プレパレーションとして呼吸を数回行います。呼吸による胸郭(肋骨)の開閉を感じ、胸骨の上下動を感じ、吐く息の際に起こる胸部の動きについていくことで結果として頭部が持ち上がります。
非常にベーシックなエクササイズですが、様々な人を教えていて、このエクササイズが素直にできてしまうという人にお目にかかることはほぼありません。
まず呼吸でつまづきます。
息が深く吐けないのです。
一見してリブフレアの方でなくとも、深い呼吸を行ったことがなければ身体は浅い呼吸しか知りません。
Chest Lift(チェストリフト)が起こるほど胸郭が閉じ胸骨が下がるには たっぷり息を吐かなければなりませんが、大抵はほんの少し吐いただけで頭部を持ち上げてきてしまいます。
ご本人は「吐ききった・吐く息がなくなった」と思っているのですが、これまで胸郭がきちんと閉じるに至るまでの可動域を使ったことがなく、それがすなわち「浅い呼吸である」ということを脳も身体も分かっていません。
「現代人は呼吸が浅い」というフレーズに納得し、解説や練習方法を聞いたとして、講義内容を己がことと実感して理解するのは難しいものです。
息を吐ききる前に頭を持ち上げてしまうChest Lift(チェストリフト)では、本来の目的である腹筋群のトレーニングまで辿り着けません。
せり上がったままその場をどかない肩&胸郭と、起き上がってこようとする頭部との戦いとなり、頚椎及び上肢帯に過剰な負荷がかかります。
かなり疲れますので、脳はそれで「エクササイズをした、トレーニングをがんばった」と思ってしまいます。
間違ったやり方で疲弊し、勘違いの満足をしてしまうのは残念です。
Chest Lift(チェストリフト)は脂汗をかくような疲れ方をするものではなく、深い呼吸と共に腹筋群に効かせられる気持ちの良いエクササイズです。
腹筋を鍛えたいのは山々ですが、エクササイズの前にまず呼吸を知ること。
そのために、インストラクターの身体を触っていただきます。
呼吸しているインストラクターの胸骨・胸郭に手を当て、動きを感じてもらうのです。
そこで初めて「こんなに吐くんだ…」と驚かれる方は多いです。
普段から息を吐いているつもりでも、肋骨が開き緊張状態が続いている自分の身体に慣れきってしまっているので、たかだか「息を吐く」という行為にさえ驚いてしまうのです。
「深く息を吐く」と肋骨が溶けてゆき、柔らかい腹部との境目がなくなっていくようです。
ぜひこの肋骨横隔膜とろけ呼吸は練習し、会得してもらいたいです。
それが今後の全てのエクササイズにつながり、またそれがなければ何のエクササイズもできません。そのためにmetamorphoseでは初回講義で呼吸に時間を割くのです。
身体を扱う職業でない限り、人の身体に触れる機会はほとんどありません。
そして人の身体に触れない限り、どれだけ話を聞いたり知識をつけても、一人で自分の身体の袋小路を突破していくことは難しいです。
グループレッスンでもオンラインレッスンでも、インストラクターの身体に触れることはできません。
プライベートセッションで「よし、これは触ってもらうしかないな…」となった時には触り方も丁寧に誘導しますので、緊張なさらず堂々と触れていただければと思います。
リブフレアを解消し、肋骨を閉じてくびれましょう。
『ドクター苫米地の新・福音書』に下記記載があったのでこの記事を書きました。
息をゆっくり吐き出す。ただそれだけ
この一文を見て、苫米地先生は私の比ではないレベルで「息を吐くことができる」お方だというのがよく伝わってきます。
私はこれまで、自分なんかよりも圧倒的に身体能力が高い人に出会う機会がたくさんありました。
「ただ息を吐くだけ」というのが「ただ息を吐くだけ」ではないことを、その人達を直に見て感じて知っています。息を吐けるかどうかは、身体能力にそのまま比例するのです。
本を読み「息を吐きだす。ただそれだけ」をやってみても、著者の方が意図するところまで辿り着くのは難しいです。
そしてこの本に記載されている共感覚のトレーニングで、まさに自分が今「著者の方が意図するところまで辿り着くのは難しい」状態となっています。
幼少期によくある「数字が色に見える」程度の話ではなく、とんでもなく脳を使う作業で全然追いつけません。
これが「人に習える」ようなことなのかもよく分からないのですが、せっかく先輩方がいらっしゃるので聞いてみます。もちろんオフラインセッションで。
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